
黒い超新星 -SONIFIX AURION & GRAVIONについて-
好きなベーシストっていますか?
私はメタリカのクリフ・バートンが好きです。
ギターとは違って、ベースの音作りをするときはなかなか苦労しました。
ギターなら、アンプを歪ませたり、エフェクターで音色を大きく変えたりしても、それ自体が「音作り」 になります。
ところがベースは、音を変えすぎると困る。
低音がなくなればベースとしての役割を失いますし、逆に低音を足しすぎれば、今度はバンド全体が濁ってしまう。
しかもベースは音程の低さゆえに、ギターよりも一音の情報量が多い。
そんなベースの音を、アンプに入れる前に整えてくれるのがプリアンプです。
長いこと、このジャンルの代表格といえばMXRのベースドライバーとTech 21 のSANSAMPでした。
そこに近年Darkglassが加わり、ベース用プリアンプ/ドライブ というジャンルはさらに進化していきました。
そして、そこへ新しく登場したのがSONIFIXです。
今回紹介するのは、そのSONIFIXから発売されているAURIONとGRAVION 。

どちらもベース用オーバードライブです。
この二台は、ベースの音をどう作るか、その考え方自体が少し違います。
そもそも、今までのプリアンプと何が違うのか。まず、ここを説明したいと思います。
MXRやSANSAMP、そしてDarkglass。
「ベースの原音を整えて、アンプに送る」という役割があります。
EQで低域・中域・高域を調整したり、ゲインを上げて歪ませたりする。
それによって、アンプそのものを変えなくても、ベースの音の土台を作ることができます。
特にSANSAMPは、ベースに「アンプっぽい質感」を加えることで、プリアンプと歪みを一台で成立させる存在でした。Darkglassはそこからさらに、現代的なベースの歪みへ進んでいった。
低域を残しながら歪ませる。
中域を押し出す。
高域のアタックを出す。
つまり、「歪ませてもベースとして使える音」をかなり突き詰めたわけです。
SONIFIXで気に入ったのは、さらにその先で、
「歪ませた音そのものを、もっと細かく作ろう」としているところです。
AURIONは特にその考え方が分かりやすい。
原音と歪みを単純に混ぜるだけではなく、歪み側だけのLow、Character、Tone を調整できる。
つまり「ベース全体の低域を増やす」のではなく、「歪んだ成分の低域をどうするか」 を決められる。
これはかなり大きな違いです。

AURIONはSONIFIXが「Natural Bass Overdrive」としているモデルです。
原音のキャラクターやニュアンスを保ったまま、厚み、艶、サチュレーション を加える。
ここだけ聞くと、よくあるナチュラル系オーバードライブに聞こえます。
しかし、実際に触ってみると少し違います。
AURIONの面白いところは、歪みそのものがかなり細かく調整できること。
上段にBlend、Level、Drive。下段にLow、Character、Tone があります。
つまり、歪んでいない原音には基本的に影響せず、歪んだ音の質感を変えていく。
例えばDriveを少し上げる。
するとベースに歪みが加わります。ここでLowを調整する。
すると「ベース全体の低音」ではなく、「歪んだ音に含まれる低域」 の量感を調整できます。
Characterを動かせば、歪みの中心となる帯域や質感が変わる。
左側ではヴィンテージ寄りの柔らかい質感、右側へ回すとモダンで明瞭な方向へ変化していきます。
この3つを組み合わせることで、同じ「歪み」でもかなり違う音になります。
ここがAURIONの一番お勧めできるポイントです。
一般的なプリアンプなら、
「低音を足そう」
「中音を出そう」
「高音を上げよう」
と考えるところを、
「歪みの中にどんな低音を作るか」
「どんな帯域を中心に歪ませるか」
「その歪みの高域をどう聞かせるか」
と考えられる。
つまりAURIONは、EQでベースの音を整えるというより、歪みの音色そのものを設計するプリアンプなのです。
実際に音も聞いてみましょう→『動画リンク』

対してGRAVION。
こちらはSONIFIXが「Modern Bass Overdrive」としているモデルです。
AURIONよりも明確に、現代的なベースサウンドを狙っています。
GRAVIONの大きな特徴は、低域をただ増やすのではなく、不要な低域を整理してから歪ませるという考え方です。
これはベースの歪みでは非常に重要です。
低域がたくさんある状態でそのまま歪ませると、音は太くなります。
しかし、太くなった分だけ輪郭がぼやける。
特にバンドの中では、ベースとバスドラム、ギターの低域が重なってしまいます。
GRAVIONはそこを整理して、低域の重心を残しながら、中域に密度を与え、高域には抜けに必要な成分を残す。
ここがAURIONとの大きな違いです。
AURIONが、「ベースの音そのものを、自然に濃くする」ペダルだとすれば、
GRAVIONは、「ベースの音を、バンドの中でより明確に聞かせる」 ペダル。
同じベース用オーバードライブでも、狙っている場所が違うんですね。
GRAVIONには、一般的なDriveやBlendだけでなく、TONE、HI、LOW の3つのスイッチがあります。これがかなり実用的です。
例えば「歪ませたら低音が膨らみすぎた」というとき。
GRAVIONの場合は、歪みの中でどのように低域を扱うかを調整できるので、原音の太さを残したまま歪みの整理ができます。
逆に、もっとアタックを出したい。
もっと中域の存在感が欲しい。
もっと現代的な硬い歪みにしたい。
そういうところを、スイッチで追い込める。
実際にAURIONと比較しても、GRAVIONの方が歪みの輪郭が明瞭で、モダンな印象が強いという印象があります。
実際に音も聞いてみましょう→『動画リンク』

ここまで読んで、
「でもAURIONとGRAVION、どっちを買えばいいの?」
となると思います。
もちろん、どちらか一台でも十分です。
個人的には、
「普段のベースの音を一段階良くしたい」
ならAURION。
「歪ませたベースをバンドの中でしっかり前に出したい」
ならGRAVION。
という選び方が分かりやすいと思います。
ただ、この二台は性格が違うので、実は組み合わせるとかなり理にかなっています。
例えば、
AURION → GRAVIONの順番。
まずAURIONでベースそのものに厚みとサチュレーションを加える。
その後にGRAVIONを通して、低域を整理しながら輪郭を出す。
これなら、「太いけどモコモコしない」という音を作りやすい。
逆に、GRAVION → AURIONならどうなるか。
先にGRAVIONで輪郭のあるモダンな歪みを作り、それをAURIONでさらに厚くする。
こちらは、より密度の高い歪みを作りやすい。
さらに両方ともBlendを使えるので、一台を常時オンの質感付けとして使い、もう一台を必要な場面で追加する使い方もできます。
例えばAURIONを常時オン。GRAVIONをサビやソロで踏む。
普段は自然な厚みのあるベース。必要なところだけ、一気に前へ出る。
この使い方はかなり実戦的ですね。私はここに、更にクリーンミックスが可能な歪みエフェクターを加えて音作りしています。
AURIONは歪みの質感を作る。
GRAVIONは歪みの輪郭と帯域を整理して、前へ出す。
プリアンプでありオーバードライブでもあるので、「新しいSANSAMP」 や「新しいDarkglass」と考えるのは少し違うと思っています。
注目のベースエフェクターメーカー、SONIFIX。
それでは、本日はこのくらいで。次回も、注目に値する製品をご紹介いたします。




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